「山谷」にある多くの家が「玉姫稲荷神社」の氏子(うじこ)です。
氏神(うじがみ)様である「玉姫稲荷神社」のお祭りは、2年ごとで、4年に一回、宮神輿が登場します。
台東区には、たくさんの神社仏閣があります。
5月から6月の間は、週末になると、必ずといっていいほど、どこかの町会から祭囃子(まつりばやし)が聞こえ、お祭りがあるのです。
※※ 氏神(うじがみ)様 ※※
ある地域や氏族を守護する神様のこと。たとえば「●●町の氏神」など、地域ごとに祀られている神様を指します。
※※ 氏子(うじこ)※※
その氏神を崇敬している地域の住民や氏族。神社でいう「ご氏子さん」は、氏神の氏子にあたる人々です。

山谷のお祭りの風景
お祭りがある週末、金曜日の夕方から夜にかけて、神社からお神輿が登場します。
お神輿には、子どもが担ぐ「子ども神輿」と、お神輿はまだ担げない子どもが親とともに、大きな太鼓がのった車輪がついて台座を、縄で引っぱる「山車(だし)」もあります。
「玉姫稲荷神社」の「宮神輿」が町内を歩くのは最終日です。
それまでは各町内会の名が入った提灯(ちょうちん)が付いている「町内神輿」を、大人の氏子たちが担ぎます。
土曜日と日曜日になると、午前・昼過ぎ・夕方頃、「山車」を先頭にして「子ども神輿」が町内を歩き、その後、「町内神輿」が町内を回るのです。
子どもの氏子には、年ごとに赤・青・ピンク・黄色のハチマキが、事前に配られます。
お祭りに参加をする時は、そのハチマキを頭に巻き、山車を引いたり、お神輿を担いだあとに、箱入りのお菓子が貰えました。
その後、お菓子の代わりにチケットが配られ、町内会の広場に設置された屋台で遊ぶスタイルに変更された記憶があります。

子ども神輿の思い出
子ども神輿の場合、身長が高い子が前の方を担ぎ、小柄な子どもが後ろの方で担ぎます。
子ども用でも、お神輿は重いので、お祭りが終わったあと、数日間は担いだ肩に痛みがありますが、お神輿を担げた嬉しい証明でもありました。

宮神輿と法被(はっぴ)
町内神輿は、女性でも担ぐ方はいますが、宮神輿を担ぐのは、ほとんど男性です。
「女性は宮神輿が担げない」
ということではなく、安全面を考えてとのことです。
宮神輿はとても大きく、担ぎ手が多く集まる上、アルコールの影響もあり、近づくと危ないのです。
「氏子ではないけど宮神輿を担ぎたい」
という場合、
「今年はお神輿を担がない」
という氏子の方から町内会名等が入っている「法被(はっぴ)」をかりて着ることで、参加することは可能です。
ただ、自分はこれだけは言いたい。
「法被をかりたら、ちゃんと洗って返そう!」

お祭りがない年も
「玉姫稲荷神社」は、去年(2024年)、お祭りだったので、今年(2025年)は開催がないようです。
まだ子どもが多かった昭和の頃は、お祭りがない年でも、子どものために「玉姫稲荷神社」のお祭りが行われていました。
※ 掲載した写真は昨年に撮影したものです。写真の「山車」は現在のもので、記事内の「山車」とは形は異なります。
※ お祭りで着る「法被」は、「祭半てん」や「半てん」とも呼ばれることがあります。地域やお祭りの形式によって、呼び方が異なる場合もあります。