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お母さん犬のシロちゃん | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

お母さん犬のシロちゃん

優しくて賢いお母さん犬のシロちゃん

山谷のコンビニやマーケットで、猫のご飯はたくさんあるのに、犬のご飯は置いていないところが多いのです。

それに対して、猫ご飯は種類が豊富。
きっと、犬よりも猫がいる家が、山谷で多いのかもしれません。

昭和の頃、大人しい犬なら、大型犬でも、ひとりで町内の散歩が可能でした。

「シロちゃん」という、とても賢い犬がいたのです。
体格は中型犬から大型犬の間くらいで、シーズーと同じように、長い耳は下へおりています。
真っ白で、とてもキレイな姿をしていました。
瞳は黒く、とても優しい目だったことも覚えています。

シロちゃんは、日中、ひとりだけで、町内をゆっくり散歩します。
家の人がくっついて、一緒に歩いたりはしません。
リードも不要なのです。
そして、ひとり散歩を終えると、シロちゃんは、そのまま自宅の中へと入っていきます。

シロちゃんが町内を歩くと
「カチ、カチ、カチ」
という音が聞こえました。
歩道のアルファルトに、足の爪にあたる音です。

家の外にいて、この音が聞こえてくると
「あ! シロちゃんの音だ!」
と、嬉しい気持ちになって、シロちゃんへ会いに行きました。
シロちゃんは、自分にとって、アイドルだったのです。

まだヨチヨチ歩きだった頃は、シロちゃんのシッポを掴んだり、引っぱったりしてしまったことがあってそうです。
しかし、賢いシロちゃんは
「相手は子供なんだ」
と、わかっているので、決して怒ったり、吠えたりはしません。

そして、子供の相手が疲れると、シロちゃんの自宅前に駐車している車の下へ入ります。
そこで、地面と一体化するシロちゃん。

車体の下に入ってしまうと、子供の手では伸ばしても、シロちゃんの体には届きません。

今も耳に残る「カチ、カチ、カチ」の音

自分は、犬や猫などの動物が大好きなのは、子供の頃、シロちゃんがいたからだと、母から言われています。
そうかもしれません。

今でも、犬がアスファルトの道を歩く時に聞こえる
「カチ、カチ、カチ」
という爪の音は、シロちゃんの音なのです。
優しくて賢い、シロちゃん。
どんなに時間が経っても、シロちゃんの姿は、ずっと覚えています。

シロちゃんは、お母さん犬で、子供たちがいたそうです。
シロちゃんは、子供たちと一緒に暮らしてはいなかったので、きっと、どこかの家へ貰われていったのでしょう。

いつか、シロちゃんの子供たち、孫たち、ひ孫たち、さらにその子供たち・・・シロちゃん縁(ゆかり)の子たちと、どこかで会えたら、いいなぁ・・・と思っています。

昭和の下町を歩く白い犬シロちゃんのイラスト。垂れた耳とふわっとした尻尾が特徴で、やさしい表情を浮かべている。
昭和の山谷の町を日中にゆっくり歩く、お母さん犬のシロちゃん。賢くて穏やかな姿が今も心に残っています。

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