看板犬クーちゃんとの出会い
山谷のマーケットには、猫のご飯やオヤツはあるのですが、犬のご飯は若干しか置いてないところが多いのです。
いろは会商店街に、ドラッグストアがありました。
そこに、白いチワワのクーちゃんがいたのです。
黒くまん丸の瞳に、ふわふわの毛並みをしていました。
とても可愛い子で、ドラッグストアの中で、床と一体化になって寝ていたりします。
お店へ入って姿が見えない時、イビキがするほうへ行くと、熟睡しているクーちゃんの姿を見ることができました。
時折、買い物を終えてドラッグストアを出るお客さんがいると、クーちゃんもそのまま後をついて行ってしまい、スタッフの方が慌てて
「クーちゃん!」
と呼び止めることもあったのです。
クーちゃんは、保護犬のため、正確な年令はわからないそうですが、そんなに若い子ではないと聞きました。
ある時、クーちゃんの上唇に大きなコブができてしまったのです。
大きなアメ玉が入っているようなお姿が、痛々しく思いました。
その後、コブの治療を受けて、コブを手術した跡はあったものの、クーちゃんの上唇の腫れは引けました。
お店でセールが行われた理由
ドラッグストアには、看板犬のクーちゃんがいることもあって、犬のご飯やオヤツ、トイレシートは豊富な種類があったのです。
お店には、男性スタッフと女性のスタッフの方、そして、責任者らしき男性の方がいました。
犬のトイレシートを買いに行った時のこと。
にこやかな笑顔で応対して下さる女性スタッフの方から、チラシを頂き
「この週に、セールをするんです。トイレシートも3割引になりますよ」
と言われました。
この時は
「あ、そうなんだ」
という程度にしか思っていなかったのです。
セールがある週は、犬のトイレシートはまだ残っていたので
「セールって聞いたけど、まだ買わなくていいよね」
と思っていました。
しばらくして、犬のトイレシートを買うため、ドラッグストアへ行ったところ、お店のシャッターは閉じられて
「閉店しました」
と書かれた紙が貼ってあったのです。
その時に、セールを行った理由を知りました。
いつもニコニコと優しい笑顔の女性スタッフの方。
お客さんの後をついて行くクーちゃんを止めに行った男性スタッフの方。
お店の責任者の方。
そして、クーちゃん。
閉店するのだとわかっていたら、お別れのご挨拶をしたかったです。
今も、そのことが心残りでいます。
別れは突然来るものなのですね。



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