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ハチワレ猫のハッちゃんと茶白猫のガウちゃん・前編 | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

ハチワレ猫のハッちゃんと茶白猫のガウちゃん・前編

ハチワレ猫のハッちゃんとの出会い

サビ猫サビちゃんの新しい家族が決まり、さらに月日が過ぎたある夏の日のこと。

隣家の境い目に、白と黒の模様を持つハチワレ猫が現れるようになりました。
家の外壁と、家を囲むフェンスとの間には、スペースがあり、そこでいつも体を横たわらせています。
そのスペースは、幅が狭いので人間が入ることは不可能。
猫が外敵から身を守るのには、安全な場所でした。

ちなみに、サビ猫サビちゃんのところにいるハチワレ猫の「リーダー」ではありません。

外壁とフェンスの間にいるハチワレ猫のハッちゃんは、子猫ではないのですが、かといって大人の猫ほどの体格もしていません。
猫に詳しい方に聞くと
「おそらく一才くらいだろう」
とのこと。

ハッちゃんは、野生猫でいる期間が、きっと長いのでしょう。
とても警戒心が強いのです。
決して、安全なフェンスと外壁の間から出ようとしません。

ハッちゃんの毛並みは本当に美しいのですが、全体的にやせ細ったように見えます。

ハッちゃんに近くと、フェンスごしに「キッ!」と、こちらを睨むのです。
野生で生きている猫は、強い警戒心がないと生き残れないのかもしれません。

枯れた草木の中、外壁とフェンスのすき間で身を丸めてこちらを睨むハチワレ猫のハッちゃん。
フェンスの裏側、枯れ葉が舞う狭いスペースに身を丸めるハチワレ猫のハッちゃん。鋭い目つきでこちらを警戒する姿が、野良猫として生きてきた時間を物語っているようです。

チュールとカリカリで育む、少しずつの信頼

毎日その場所にいる訳ではないのですが、安全な場所のため、気がつくと
「あ、ハッちゃん、今日来てる」
と、常連になっていました。

「お腹が空いてないのかな? 水はどうしてるのかな?」

ただ、ハッちゃんはフェンスの中からは出ようとしません。

山谷にあるマーケットやコンビニには、猫のご飯がたくさん販売されています。

「ハッちゃん、チュールは食べるだろうか?」

マーケットで猫のチュールとキャットフードを買います。
そして、ハッちゃんがフェンス裏に横たわっている時、こちらが近づき過ぎないよう気をつけながら、腕を伸ばし、フェンスのすき間から、チュールをそぉーと差し出したのです。

すると、警戒しつつも、小さな鼻をフンフンとさせながら、ハッちゃんがチュールへと近づいてきました。
そして、チュールを食べ始めたのです。
チュールを食べ終わると、再び、こちらと距離をおいて横たわり、こちらをキッと睨んでいます。

チュールだけでは、お腹が空きますね。
そこで今度は、猫のカリカリ(=猫のドライフード)をあげることにしたのです。
猫のご飯は、1食ごとに小袋に入っているものなど、山谷には本当にいろいろありました。

後日、ハッちゃんがフェンスと外壁の間に横たわっている時、フェンスの土台となっているブロック塀の上に、カリカリを置きました。
しかし、こちらをキッと睨み頑として起きあがろうとはしません。
警戒心を解いて貰うため、その場を離れ、家の中に入りました。
すると、
「カリカリ、カリカリ」
という微かな音が聞こえます。
どうやら、ハッちゃんが、カリカリを食べてくれているよう。

音が止んだので、様子を見に行くと、ブロック塀の上に置いたカリカリはなくなっています。
そして、もとの位置で横たわり、キッとこちらを睨んでいるハッちゃん。

猫は空腹の時、じっと動かず、体力を温存することを、猫の記事で読んだことを思い出しました。

フェンス越しに、伏せた体勢でこちらを警戒するハチワレ猫のハッちゃん。
金属フェンス越しに、じっとこちらを見つめるハッちゃん。少し緊張した面持ちで、体を低くして石の上に座っています。野生の勘と慎重さを感じさせる一枚です。

外の世界へ踏み出した、ハッちゃんの小さな変化

ハッちゃんは、毛並みは綺麗ですが、体全体はなんか骨っぽいのです。
しっかりご飯を食べているのか、疑問です。
このまま、フェンスを支えるブロック塀の上に置くカリカリだけでは、ご飯の量は足りないでしょう。
ただ、野生で生きるハッちゃんの警戒心はかなり強いのです。

「そうだ。ハッちゃんがご飯を食べ終わるまでは、こちらの姿は出さないようにしよう!」

さっそく、紙皿と水を購入。
翌朝、ハッちゃんがフェンスと外壁のスペースで横たわっているのを確認。
家の前にある台の上に、紙皿を2枚置き、それぞれに、カリカリを一食分と、水を入れました。
こちらは家の中に入ります。
すると、ドアの向こう側から
「カリカリ、カリカリ」
という音が微かに聞こえてくるのです。

そして、音が止んだので、そっとドアを開けました。
ハッちゃんはフェンスと外壁とのスペースで、いつものように横たわっています。
でも、紙皿の上に置いたカリカリは、完食されていたのです。
ハッちゃんが、フェンスと外壁のスペースから出てきて、ご飯を食べてくれました。

それから毎朝、カリカリと水を用意ひ、家の前にある台の上に置きます。
そして、ハッちゃんがご飯を食べる
「カリカリ、カリカリ」
の音が聞こえる間は、ドアは開けないようにしました。

それから間もなく、ハッちゃんに変化が起きたのです。
ご飯を食べ終えると、フェンスと外壁の間に戻らず、サッと軽やかな身のこなしで、そのままどこかへと向かいます。
家の窓から、ハッちゃんが元気よく、向かいのブロック塀の上へ、ひらりと飛び上がり、軽やかに歩き去っていく姿を見ることができました。

ハッちゃんの体力が戻ってきたのでしょう。
それと同時に悲しいことも起きました。

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