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ハチワレ猫のハッちゃんと茶白猫のガウちゃん・中編 | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

ハチワレ猫のハッちゃんと茶白猫のガウちゃん・中編

ハッちゃん、ふたたび現る

ハッちゃんが、隣家のフェンスと外壁のスペースに姿を見せなくなったのです。

体力が回復した以上、狭いスペースで体を休ませる理由もなくなったのでしょう。
良いことではありますが
「そうか・・・ハッちゃん、行っちゃったのか・・・」
と思い、家の前にある台のハッちゃんご飯スペースを片付けたのです。

そして日数が経ったある日の朝。
曇りガラスの窓ごしに、白と黒の模様をした丸いものが見えます。

「ん?」
と思っていると、窓の向こう側から
「ニャーン」
という可愛らしい声が微かに聞こえました。
ハッちゃんです!
ハッちゃんが戻ってきたのです。

もしものことを考え、ハッちゃんのご飯は保管していました。
紙皿に、カリカリと水を用意して、そっとドアを開けます。
ハッちゃんは、こちらと距離を開けた位置に座っていました。
こちらを見つめる目は、以前と同じくキッとしています。
ただ、フェンスといった仕切りなしで会ってくれているのです。
さらに、体型が前よりもふっくらしたように見えました。

ハッちゃんのご飯を、前と同じく家の台に置きます。
ハッちゃんは、こちらの様子をじっと見たまま動きません。

ハッちゃんを驚かせないよう、こちらは家の中に入ります。
そして、ドアを少しだけ開け、ご飯を食べてくれるのかを見ることにしました。

ハッちゃんは、音も立てずに、台に上がり、カリカリを食べ始めます。
時折、カリカリを残すこともあったのですが、この時は完食してくれました。
そして、食べ終わると、サッといなくなってしまいます。

元気であれば全て良し!

ハッちゃんがいなくなったことを見届けてから、ドアを開け、台の後片付けをします。

正面をじっと見つめるハチワレ猫のハッちゃん。黒と白の毛並みに、きりっとした黄色い瞳が印象的。
ご飯スペースの前で、こちらをじっと見つめるハッちゃん。目に力が戻ってきたように感じました。

毎朝のルーティンと変化

そして翌朝は、洗濯機の上で香山座りをし、朝ご飯を待つハッちゃん。

さらに次の翌朝は、ドアを開け
「今日はいないのかぁ」
と思っていたところ、室外機の裏から
「ニャーン」
との可愛らしく小さな声。
「あ、ハッちゃん、今日はそんなところにいたのか」
と、いつものように台の上へ、カリカリと水を置きます。
お腹が余程空いている時は、こちらが家の中に入るのを待たずに、ひらりと台の上に上がって、ご飯を食べてくれます。

体つきも骨っぽさはなくなり、ふっくらと丸く太った印象があるハッちゃんの姿。
多分、ハッちゃんは、朝はこちらでカリカリを食べ、日中や夜は、他の家でご飯を食べているように思いました。
毎日しっかり食事をとるのは、とても良いことです。

そんなある日の夜のこと。
家の外で
「ガーウッ! ガーウッ!」
という低く割れた声と
「ニャーンッ! ニャーンッ!」
と可愛らしくも甲高い声が聞こえてきました。
どうやら、猫同士のケンカのようです。
そして
「ガァーウッ!!」
「ニャーッ!!」
という怒りの叫び声がし、ドタッドタッドタンッという大きな音がしました。

思わず、窓を開けて
「ハッちゃん!?」
と声をかけたのですが、周囲は暗闇に包まれて、シーンと静まり返っています。

ただ、この夜をきっかけに、ハッちゃんは姿を見せなくなりました。

室外機の上で、用意されたご飯を食べるハチワレ猫のハッちゃん。白い皿に夢中で顔を近づけている。
以前よりふっくらした印象のハッちゃん。用意したご飯をしっかり完食してくれました。

そして、ガウちゃん登場!

翌朝も、そのまた翌朝も、ハッちゃんは現れません。
ハッちゃん、ケガをしていないのか、気になります。

それから間もなくの夜のこと。
隣の家の外壁とフェンスの間、ハッちゃんがいつも横たわっていたスペースで、カサッカサッという物音がしました。

ハッちゃんが戻ってきたのかもしれません。

音がした方へ
「ハッちゃん!? ハッちゃん!?」
と呼んだところ、ひょこっと顔を見せたのは、茶白の猫。
白いお顔に、おかっぱ頭の女の子が眉毛より上で茶髪の前髪をカットしたような模様をした猫でした。

「ガーウ」

おそらく、ハッちゃんとケンカをしたのは、こちらの茶白猫のガウちゃんです。
ガウちゃんも野生の猫なのでしょう。
顔を見せたと思ったら、サッと身をひるがえし、夜の暗闇の中へ消えて行きました。

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