※ この記事は後編です。中編はこちら
ナワバリ争いとすれ違うふたり
ハッちゃんとガウちゃんのケンカは、きっとナワバリ争いだったのだと思います。
その時は、ガウちゃんが勝ったのでしょう。
ハッちゃんのナワバリを、ガウちゃんが取ったのか。
それとも、もともとガウちゃんのナワバリだったところに、ハッちゃんが後から入ってきたのか。
そして、ケンカに負けたハッちゃんは、どこへ行ったのでしょうか。
それから間もなくのある日の夜。
こちらが家に入ろうとすると、後ろから
「ガーウ、ガーウ」
という声がします。
そこにいたのは、ガウちゃん!
ガウちゃんは、ハッちゃんよりも体が大きいのですが、ボサボサの毛並みをしており、若い猫ではないようです。
こちらを見て
「ガーウ、ガーウ」
と鳴いています。
お腹が空いているのでしょう。
紙皿にカリカリを入れ、ハッちゃんがご飯を食べていた台の上に置きました。
しかし、ガウちゃんは、ハッちゃん以上に、こちらとの距離を開け、近づこうとはしません。
ガウちゃんは、長く野生の生活を送ってきたことで、ハッちゃん以上に強い警戒心を持っているのだと思いました。
そのため、ガウちゃんが安心してカリカリが食べられるように、こちらは家の中に入って、ドアを閉めます。
すると、ドアの向こうから、カリカリを食べる音が聞こえてきました。
ガウちゃん、カリカリを食べているようです。
カリカリの音が聞こえなくなったので、ドアをゆっくり開けると、ガウちゃんの姿はなく、紙皿も空になっていました。

再び現れた夜のハッちゃん
それから、また数日経ったある夜のこと。
家に入ろうとした時、足元を勢いよく走り抜けるものがありました。
そして、室外機の後ろから
「ニャーン」
という可愛らしく小さな声。
ハッちゃんです!
明るい日中にしか姿を見せなかったハッちゃん。
逆に、日が落ちた夜にのみ現れるガウちゃん。
ハッちゃんが夜に姿を見せたのは初めてのことでした。
この日の夜は
「ガーウ、ガーウ」
という声が聞こえません。
ガウちゃんが不在なので、ご飯を食べにきたのでしょう。
紙皿にカリカリを入れ、いつものように、台の上に置きます。
こちらが家の中に入るまで、ハッちゃんはカリカリを食べようとしません。
ハッちゃんを安心させるため、家の中で完食するのを待ちます。
カリカリの音が聞こえなくなって、ドアを開けると、その姿は消えていました。
ハッちゃんが夜に現れたのは、この時が最初で最後です。
ハッちゃんのそれからは、気が向いたら、朝、カリカリを食べにくるという感じになりました。
きっと、他の家でもご飯を貰っているのでしょう。
ガウちゃんは、日中は姿も見えず、あの「ガーウ」というハスキーな割れた声も聞こえないので、どこか安全なところにいるのだと思います。
こんな日が、これからも続くと思っていました。
ある休日の朝。
ハッちゃんが、久しぶりに現れて、ご飯を待っていたのです。
「よし、カリカリを!」
と思っていたところ、在庫が切れていることに気づきました。
そのため、ハッちゃんに
「今、急いで買ってくるから、もうちょっと待っていてね」
と伝えます。
ハッちゃんは、こちらと距離を置きつつ、じっと様子を見ています。
一番近いマーケットで、猫のご飯を買いました。
「ハッちゃん、いなくなっちゃったかな」
と思いつつ帰宅をすると、ハッちゃんは室外機の上で、毛づくろいをしながら待っていたのです。
驚かせないように、ドアを開けて、紙皿にカリカリと水を用意し、再び家の前にある台の上に置きました。
少し離れたところから眺めていると、ハッちゃんがカリカリを食べ始めます。

最後に見た日、最後に聞こえた声
そして再び、ある休日の昼頃。
家を出ると、ハッちゃんが洗濯機の上に、体を丸めて座っていたのです。
こちらを、じっと見ています。
「もしかして、撫でても大丈夫かな」
と、近づいたところ、ハッちゃんはサッと行ってしまいました。
そして、ハッちゃんを見たのは、この日が最後だったのです。
その数日後、風の強い深夜がありました。
遠くから、ハスキーの割れた
「ガーウ、ガーウ」
という声が聞こえます。
そして、激しくなる強風の中で
「ガーウ、ガーウ」
という声もかき消され、もう聞くことがなくなりました。
ハッちゃーん! ガウちゃーん!
どこにいるんだーい!
元気なんかーい!
ご飯ちゃんと食べてるんかーい!
おーい・・・

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