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【山谷むかし話】あ~、見つけたぁ~! | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

【山谷むかし話】あ~、見つけたぁ~!

むかしむかし、南千住駅で

むかーし、昔、その昔。
山谷の近くに「南千住駅」という駅があった。

ある日の夕刻、小学生の女の子と、若いお母さんが、南千住から北千住へ、電車で行こうとしておったそうな。

南千住駅のプラットホームで、先頭車両が停まるところに立ち、電車が来るのを2人で待っておった。

フラフラ~と近づいてくる影

すると、そこへ、フラフラ~と、1人の男性が近づいて来たんじゃ。
見ると、当時、山谷で暮らしていた男性のようじゃった。

その男性に気づいた小学生の女の子は
「早く電車、来ないかな。早く電車、来ないかな」
と胸の中で祈ったんじゃが、いっこうに電車の来る気配がない。

この親子は、ずっと山谷に住んでおっての、身の守り方も心得ておった。

女の子の機転

フラフラ~、フラフラ~と、その男性が親子の方へと近づいて来てな。
もう少しで、親子の目の前に来そうな時、女の子が機転をきかしての
「お母さん、向こうに行こうよ」
と言って、近づいてくる男性を、ぐるっと迂回してな、プラットホームで最後尾の電車が停まるところまで移動したんじゃ。

そうしたらの、その男性もクルッと後ろへ振り向いて、再び、その親子の方へ、フラフラ~、フラフラ~と、近づいていったんじゃ。

「あーッ!こっち来ちゃうーッ!」
と、女の子が思った時、ようやく電車がプラットホームに入ってきてな。
親子はホッとして、電車の最後尾の車両へ乗り込んだんじゃ。

ところが!
電車が走り出して、最後尾の車両から窓ごしにプラットホームを見ると、あのフラフラ~、フラフラ~と近づいてきた男性の姿がない!

「あ~、見つけたぁ~!」

「同じ電車に乗っている!」
と、親子でギョッとしたんじゃが
「あ、でも車両が違うから大丈夫だ」
と、母と子でホッとしておった。

そして、北千住駅で電車を降りての、プラットホームの階段を下っていると、後ろから・・・
「あ~、見つけたぁ~!」
という声がして、あのフラフラ~、フラフラ~と近づいてきた男性が、後ろから親子のあとをつけて来ておったんじゃ。

むかーし昔、とぉーい昔。
夕刻に知らない男の人が、あとをつけてきたら「コワイ」という、そんな話しじゃったとさ。

夕焼けのホームで親子が会話する中、遠くから影のような男性が忍び寄る印象的な一場面

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