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【山谷むかし話】妻が見つからなくて~ | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

【山谷むかし話】妻が見つからなくて~

むかしむかし、山谷にて

むかーし、昔、そのまた昔。
山谷に、ある家族が住んでおった。

この家では、お父さんはガリガリにやせ細っての。
お母さんは関取のように豊満なお姿をしておった。
2人の間には、たくさんの子どももおったそうな。

ある日、お母さんがいなくなった

けれども、この家は暮らし向きが厳しくての。
ある日、突然、お母さんが家を出て行ってしまったのじゃ。

小さな子どもを抱え、お父さんは必死になって、お母さんの行方を探したんじゃ。

「妻が見つからなくて~」

探せども探せども、お母さんは見つからん。
お父さんは、すっかりしょぼくれておった。

見つけた場所は・・・意外なところ

この話が町内に広まった頃、ご近所の人が言うたんじゃ。

「そのお母さん、見たよ」

どこで見たのかと尋ねると─―

「あそこにさ、銭湯あるじゃん? 2階が銭湯で、1階が食堂になってるとこ。
その食堂の奥で、焼きそばを焼いてるよ。
スッゲー太ってるから、すぐわかるよ」

むかーし昔、とぉーい昔。
山谷に「灯台下暗し」みたいなことがあったんじゃとさ。

昭和の夕暮れ、下町の食堂の前で焼きそばを焼くふくよかな女性と、驚いた表情でそれを見つめる痩せた男性の水彩画イラスト

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