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粘土と型と、30円のしあわせ | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

粘土と型と、30円のしあわせ

昭和の放課後にいた「カタ屋」

「カタ屋」を知っていますか。

まだゲーム機が存在しない昭和の頃。
放課後の夕方になると、小学校の校舎近くで、ご年配の女性が「カタ屋」の露天商をされていました。

最初に「たい焼き器」のようなカタチをした小さな素焼きの型を買います。
型には、まさに「たい焼き」みたいな魚の柄もあれば、ウサギなどの動物の柄が描かれたものもありました。

型を買ったら、やわらかい粘土と、紙で包ませたカラフルな色の着床用の粉も買うのです。

型は何度も使用できるので、一つあれば大丈夫。
あとは、遊ぶ時に、粘土と粉のみ、再度購入します。
粘土と粉はセットで30円か、50円くらいだったと思います。

お気に入りの型を手に入れる

型はもう少し高いので、親が一緒でないと買えません。
自分は、魚の柄が入った一番小さな型を買って貰えました。

型の魚の柄部分に、やわらかい粘土を押し込みます。
そして、形を崩さないように、桃色や金色の着色用の粉を、粘土の魚に指で付けていきます。

カタ屋での粘土遊びの手順を説明した図解。型に粘土を詰めて色を付けるまでの流れ

▲上記は語り部が作成した「カタ屋」での遊び方の説明図です。

色づけと得点カードの楽しみ

粘土の魚をきれいに着色できたら、露天商の方に出来栄えを見てもらいます。
そして、点数が印字された得点カードが貰えるのです。
得点カードの大きさは、切符を半分に折ったくらいのサイズです。

この得点カードをたくさん集めると、好きな型と交換もできるというもの。

粘土は2~3回使用できて、やわらかい粘土が硬くなって、型で形が作れなくなったら、露天商の方が片手で粘土を丸めて、最後の得点カードと一緒に渡してくれます。

記憶に残る小さな宝物

30円~50円の素朴な遊びが、どれだけ貴重でわくわくしたことか。
今はもう見なくなった「カタ屋」で遊んだ記憶は、時が経っても、キラキラした思い出として残っています。

誰か「カタ屋」で遊んだことを覚えていませんか。

昭和の放課後、小学校の校庭でカタ屋の女性と粘土遊びをする子どもたちの水彩イラスト

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