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【番外編】お元気ですか | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

【番外編】お元気ですか

奪われた恋と、残された想い

ある方から、こんな話を聞きました。
その方には、ご子息がいます。
そのご子息が大学へ入学。
子供の頃から、選考は福祉を希望。
希望していた福祉の大学生となりました。
新しい学校での生活が始まります。
大学の授業、サークル、新しい友達。
そして、恋人もできたのです。

大学生活、そして恋人と過ごす楽しい日々。
勉強も希望の福祉です。
自宅から大学へ通いました。

大学のサークルは、学外の学生との交流もあります。
ある時のこと。
ご子息の所属していたサークルが、学外の学生と懇親会を行うことになりました。
懇親会に参加をしたのは、看護専門学校の学生たち。
その看護専門学校に、ある女子学生がいました。
ご子息の隣りに、その看護学生が座ります。
明るく陽気なご子息と話し、その看護学生は
「変わった人」
と面白く思ったのです。
そして、ご子息に強い恋愛感情を持ちました。

その看護学生は、周囲から
「大人しい」
と言われていました。
しかし、強い恋愛感情を持った途端、別人のように積極的となり、ご子息を追い回します。

追い回しても、ご子息には恋人がいるのです。
看護学生は、ご子息とその恋人を、別れさせることにしました。
そして、2人を無理やり別れさせることに成功したのです。

ただ、ご子息は大学を卒業した後、地元ではなく、遠方へ就職することにしました。
自宅からは通えません。
そのため、ご子息はひとりで、その地に向かうつもりです。
すると、その看護学生は
「一緒に行く!」
と、ご子息について行くつもりでいます。
ご子息は、その看護学生と交際はしていても、結婚はしていないので、連れて行くつもりはなかったのです。
その看護学生の親も
「ついて行ったって、しょうがない」
と引き止めます。
しかし、その看護学生のご子息への執着は異常なほど強く、頑として、親の忠告は聞き入れません。

そして、ご子息が就職先の地へ引っ越す際、看護学生も一緒について行きました。
その看護学生の親は、仕方ないので、ご子息の親へ
「気に入らなかったら、送り返して下さい」
と、電話で伝えます。
ご子息は看護学生と一緒に、就職先の地へ行きました。
そして、2人は結婚したのです。

毎年届く「お元気ですか」の意味

看護学生によって、無理やり別れさせられた、ご子息の前の恋人。
ご子息と不仲で別れた訳ではないのです。
その看護学生に、無理やり別れさせられたのです。

お正月になると、別れさせられた前の恋人から、ご子息宛に
「お元気ですか」
と書かれた年賀状が、毎年届きます。

遠くの地で暮らすご子息。
実家に戻ることもあります。
しかし、看護学生は、ひとりで実家には戻しません。
必ず、自分もついて行くのです。
ご子息と結婚をした看護学生は、仲が悪くなったのではなく、自分が無理やり別れさせたため、前の恋人が
「連絡を寄こしているかもしれない」
と、勘づいていました。

また、ご子息の親も、結婚した看護学生は、すごく嫉妬深いことを知っています。
そして、ご子息が実家に戻る時も、ひとりでは帰らさず、必ず、一緒についてきました。
そのため、大学で別れさせられた前の恋人が、ご子息へ、毎年お正月に
「お元気ですか」
と書かれた年賀状を送ってきていることを、ずっと伝えられないのです。

ご子息の親は言います。

「いつか・・・あの子に、毎年お正月に「お元気ですか」って書いた年賀状を送ってきてくれたんだよって教えてあげたいと思ってる」

木のテーブルの上に置かれた年賀状。宛名はぼかされている静かな冬の室内(イラスト:AI作成)。
冬の室内、木のテーブルの上にぽつんと置かれた一枚の年賀状。差出人も宛名もはっきりとは見えず、静かな空気の中に、誰かの想いだけが残っているような情景です(イラスト:AI作成)。

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