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STOP!ザ・ゴミの不法投棄 <後編> | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

STOP!ザ・ゴミの不法投棄 <後編>

「やらない、もうやらない」の言葉を信じて

微笑みをいつも絶やさずにいる飲食店のあの女性です。

そして、相手の女性は

「いつも、すみません」

と、申し訳なさそうな顔をしつつ、謝罪の言葉を口にします。

この「いつも、すみません」とは、どういう意味なのか。
こちらは、家の前に、ゴミの不法投棄をして良い、と言ったことはありません。

呆然として立っていると、その女性はゴミ袋2つを手に持ち、自転車で去っていきます。

それから間もなく、清掃事務所の方が車に乗って来て下さいました。
不法投棄のゴミを持って行った件を話します。

清掃事務所の方が帰られた後、今後のことを考えました。

相手の女性は「いつも、すみません」とは言いましたが
「もうゴミは置きません」
とは言っていないのです。

「またゴミを置かれるのだろうか・・・ただ、ご近所なので、もめるのは良くないし・・・」

長かった日々に、ひと区切り

その日の午後、箱入りのせんべいを買って来ました。
そして、ゴミの不法投棄をした女性が経営する飲食店へ向かいます。
「営業中」の札がかかっているお店の扉を開けたのです。

厨房から
「どうぞ! どうぞ! 中に入ってぇ!」
という明るく元気な女性の声が、店内へと響き渡ります。

こちらは店内に入らず
「いえ、外で待っています」
と伝えて、店の外へと出ました。

間もなく、厨房にいた女性が店の外へ現れたのです。
相手の女性へ
「ご近所なので、仲良くして頂きたいと思っています。ゴミ出しのルールは守って頂けないでしょうか。こちらでご迷惑をおかけしていることがあったら、その時は注意しますので言って下さい」
と伝えて、買ってきたせんべいの箱を渡しました。

その女性は、満面の笑みを浮かべながら
「やらない! やらない! もうやらない」
と、元気よく答えたのです。

「これで終わった」
という安堵の気持ちが広がりました。

帰宅して、相手の女性とのやり取りを、電話で清掃事務所へ伝えました。

長い年月、自分の中にあった「ゴミの不法投棄」という重石が、ようやく消えたのです。
本当に長かったのです。

新たなゴミ。また重くなる心

そして、ゴミ回収の日がまた来ました。
自分の家のゴミを、玄関の前に置き、所用で外出したのです。
20分くらいで帰宅すると、まだゴミは回収前でした。

そこで、自分の中に新たな重石が生まれたのです。
家の前に置かれた小さな不法投棄されたゴミ袋。

清掃事務所の方へ、再び、相談しました。
そこで、今回も清掃車が来た際、不法投棄されたゴミは、そのまま残して頂くことになったのです。

清掃車が不法投棄されたゴミを残し、他のゴミ袋を回収していきます。
その後、別の車に乗った清掃事務所の方が来て、不法投棄のゴミを確認してくれました。
中身はティッシュペーパーがたくさん入っていて、身元が確認できるものは入っていないのです。

黄色いステッカーと、防犯カメラのまなざし

そこで、清掃事務所の方が、不法投棄にされたゴミ袋に
「至急お引き取り下さい。不法投棄です」
という文字が印字された黄色いステッカーを貼って下さいました。
白い半透明のゴミ袋に、黒い文字に黄色の地のステッカーの組み合わせは、とても目立ちます。
不法投棄した人が持ち帰るまで、このゴミ袋はこのまま家の前に置いておくことになりました。

そして数日後、ステッカーの貼られたゴミは、いつのまにかなくなっていたのです。

いつも微笑みを浮かべている女性の飲食店前を通りました。
その入口に、監視カメラが撮ったと思われる写真が貼られていたのです。
その写真には、女性の飲食店前に立つ男性の姿が写っていました。
写真には貼り紙も貼られ、そこに
「自転車を盗んだ泥棒です」
と、黒マジックの手書き文字で書かれていました。

自転車の盗難は、犯罪です。
そして、ゴミの不法投棄も、犯罪なのです。

山谷には、いろんなところに監視カメラが設置してあります。
そして、我が家の前にも、監視カメラは設置されているのです。

吉原方面へと続くバス通り。日の出会商店街の一角です。
吉原方面へと続くバス通り。日の出会商店街の一角です。

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