静まり返った町で待っていた「おもてなし」
お世話になった方から
「できるだけ人やたくさん呼んで欲しい」
とも言われたのですが、日程調整が合わず、ひとりで向かうことになりました。
その方が住んでいるところは、電車の乗り継ぎ、乗り継ぎ、乗り継ぎが必要。
さらに最寄駅は、電車が1時間に1本しか来ないのです。
駅を出ると、お店は全てシャッターが閉まり、閑散としていました。
人はほとんど歩いていないのに対して、車の往来は激しいところ。
車道と歩道の境を分けていないところも多く、すぐ側を大型車が猛スピードで走るので、危ないように思いました。
また、外国人どころか、観光客の姿が全くないのです。
お世話になった方が自転車に乗って現れました。
途中、相手のご家族にご挨拶をして、レストランへ行くことになったのです。
ちなみに、営業しているところは一軒だけ。
店内に入ると
「魚料理しかない」
と言われたので、お世話になった方が、その料理とレモネードを注文されました。

僻地(へきち)で語られる「JNKビジネス」の全貌
食事を終えた後、相手の方がこの場所についての感想を聞かれます。
そのため、こちらが思ったことを伝えると、白紙を取り出し、ペンで書きながら
「そこの道(=大型車が走る車道)に桜並木があったら、日本にきた外国人の人が飛行機の中から「綺麗だなぁ」って思うと思うんですよ。桜の苗木を植えて、あなたも年に3回、4回、5回、6回と来て、桜の手入れをする。桜が育ったら、花見ができるようになる。春に自分が植えた桜の下で、花見をする人が出るから、その人から場所代を貰う。その場所代は、あなたのもの。これを「自分年金」略して「JNK(ジェーエヌケー)」という。ふるさと納税にもなって、節税にもなる。私はここの議員とも知り合いなんだ」
と、熱く語られたのです。
お世話になった方だったので、頷きながら聞いていました。
繁華街の喫茶店で、ネットワークビジネスの勧誘を受けている人の姿が思い浮かびます。
こちらのテンションが低下しているのに気づいたのか、相手の方は帰り支度をされました。
こちらがテーブルの伝票を取ると
「あらぁ~出してくれるのぉ」
と言われたので、2人分を会計窓口で支払い、慣れない僻地でどっと疲れが出た状態で帰宅したのです。

「詐欺に気をつけます」の一言で止まる相手の話
そして3ヶ月後、桜の「JNK」ビジネス勧誘をされた方へ、所用でご連絡をすることになりました。
お電話を差し上げると、その方から再び
「桜がたくさん咲いていたら、外国人の人達も「綺麗だなぁ」って思うと思うんですよ」
という話が始まり
「私はね、東京を卒業したんです。ここには看護師が沢山いるんですよ。空き家もいっばいあって、あとは修理できる人が集まればいいだけ! あなたもここに住んだらいい! この計画に50万円出してくれた人もいるんですよぉ!!」
と、テンションを上げながら話されたのです。
その時、こちらが
「詐欺に遭わないよう気をつけます」
と、ハッキリ伝えると、その方はピタッと話すのをやめました。
その後、これまでお世話になったことのお礼と、桜の「JNK」ビジネスには協力できないことを手紙に書いて送っています。
勧誘は、あらゆるところから近づいてくるのです。

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