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サビ猫サビちゃんとそのお父さんのその後・後編 | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

サビ猫サビちゃんとそのお父さんのその後・後編

※ この記事は後編です。前編はこちら

つながらない電話と、安否確認への迷い

翌日の朝。
サビちゃんのお父さんへ電話をかけました。
「プルルル、プルルル・・・」
と、携帯電話の呼び出し音が続くのみ。
昨日と同様、電話には出ません。

もしかして、家の中で倒れたのでしょうか。
一緒にいるのは、サビちゃんや保護猫たちのみ。
サビちゃんたちでは、救急車や助けを呼ぶことは不可能です。
しかし、お父さんの引越し先がわからないのです。

サビちゃんのお父さんが前に住んでいた家へ行ってみることにしました。
お父さんのご子息たちがいるかもしれません。
家の前に設置された呼び出しブザーを鳴らします。
しかし、誰も出てきません。
家は静まりかえっています。
人のいる気配がないのです。
この日は、日曜日。
ご子息たちは、家族旅行へ行かれたのかもしれません。

「どうしよう・・・」

部屋の中で倒れたのであれば、すぐ助けなければ。
ただ、そうではない可能性もあります。
いきなり、警察へ連絡をすると、大ごとになってしまうかも。

「電話、ありがとね」と笑った人

日曜日でしたが、まず、台東区役所へ相談をすることにしました。
区役所の代表に電話をし、昨日から今朝までの説明をします。
すると、代表電話に出てくれた方から
「安否確認は、警察でないとできない」
「倒れたのかどうか、まだわかりません。警察へ電話をしたら、大ごとになってしまうんじゃないかと」
「大丈夫。警察に連絡をしたら対応してくれる」
との助言を貰いました。

昨日の夕方に、留守番に入っていたサビちゃんのお父さんの
「・・・電話・・・ありがとう・・・」
という弱々しい声のメッセージ。
部屋の中で倒れてしまい、助けを呼ぼうにも、動けないのかもしれません。
命がかかっているのです。

区役所との電話を終えた後、すぐ110番へ。
警察の方が電話に出て
「どうしました?」
と聞かれます。
昨日から今日までのことを伝えました。
サビちゃんのお父さんがいる住所を聞かれます。
しかし、ピンポイントではわからないのです。
そのため
「たぶん、この辺ではないかと・・・」
と、お父さんがいつも現れる方向をなどを伝えました。

電話が終わった後、家の中で警察の方からの連絡を待ちます。

そして、そんなに待たずに、自分の電話が鳴りました。
すぐ電話に出ると、警察の方からで
「携帯電話の電源が切れていたそうです」
とのこと。
サビちゃんのお父さんは、元気でした。
警察の方へ、対応して下さったお礼を伝えます。

そして、サビちゃんのお父さんへ電話。
お父さんが、すぐ電話に出てくれました。
明るく元気な声。
昨日の弱々しさはありません。

「今、パトカーでお巡りが来て。みんな、集まって来ちゃったんだよ」
と、笑いながら話す、サビちゃんのお父さん。

背後から、いろんな人の声も聞こえました。
どうやら、パトカーが来たことで、ご近所の方々が
「何だ、何だ」
と、お父さんの家へ集まったようです。
親戚から届いた野菜を渡したいことを話します。
お父さんは、集まってきたご近所の方々へ
「野菜を持ってきてくれるんだって。いや、そうじゃないんだよ」
と、嬉しそうに話しています。
電話から、とても賑やかで、楽しそうな様子が伝わってきました。

お父さんが、道の途中まで、野菜を取りに来てくれるとのこと。
野菜が入ったビニール袋を持ち、家がある方向へと歩きます。
すると、サビちゃんのお父さんが、こちらへ向かって歩いてきました。
まっすぐに伸びた背筋。
しっかりとした足取り。
とても若々しく、元気そのものです。

「誰かがね、電話に出ないからって、警察に連絡したんだって」
と、笑って話します。

お父さんに、自分が電話をしてしまったことを伝えました。
野菜が入ったビニール袋を渡します。

「電話、ありがとね」

そう言うと、お父さんは笑顔のまま、サビちゃんたちの待つ家へと戻って行きました。

夕暮れの住宅街で、野菜の入った袋を持つ男性の足元にサビ猫サビちゃんが寄り添っている水彩イラスト。
夕方の道で再び会ったお父さん。サビちゃんは足元にそっと寄り添い、変わらない日常がそこにありました。

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