訛りを指摘された旅館の女将
「奥さん、●●(←他の地域名)でしょ〜う?」
「・・・あいにく、今、満室でして」
まだ昭和の頃。
宿泊するため、山谷の旅館を訪ねた方がいました。
その方は、接客対応で現れた女将の話し方を聞き、生まれ育った地域を当てたのです。
女将自身は、キレイな標準語で話していたつもりでした。
しかし、その話し方に訛りがあることを指摘され、カチンときたのです。
その旅館は空室があったのですが、頭にきた女将は、満室だと言って泊まらせなかったのでした。


旅館を訪ねてきた方は、悪気はなかったのだと思います。
もしかしたら、同じ地域の出身地か、その地域に住んでいたことがあったのかもしれません。
当時のことを思い出し、懐かしい気持ちになって、つい聞いてしまったようにも思いました。
中国地方から一都三県へきた方がいました。
その時に
「話し方が「訛っている」と言われた」
と、こぼしていたのです。
訛りを指摘した方も、深く考えてはいなかったのでしょう。
しかし、言われた方は傷つきます。
相手の話し方をからかったり、笑ったりすることは控えるべきですね。


山谷で出会った優しい大人たち
旅館の女将には、同級生の子がいました。
ちなみに、同級生のチャバちゃんではありません。
旅館の前に集まり、低学年の小学生たちが遊びます。
その旅館に宿泊する男性の方がいました。
ガテン系の雰囲気をお持ちのガッチリとした方。
その方は、買物へ行くと、子供たちにお菓子を買ってきてくれるのです。
旅館の前で、遊んでいたら、その方が買物を終えて、戻ってきました。
子供たちがいっせいに、泊まっている和室へと向かいます。
畳の上に座り、買物袋を開くガテン系の方。
そして、一人ひとりに、1個ずつお菓子を渡してくれました。
お菓子を受け取った子たちは、再び外へと向かいます。


中学校に入った頃のこと。
同級生のチャバちゃんと、学習塾へ通っていました。
時間帯は、学校の授業が終わって帰宅してから。
いつもチャバちゃんと一緒に、塾へと向かいます。
そして、塾が終わった帰り。
あさひ会商店街にあるマーケットの前で、ご年配の男性と出会いました。
ネクタイのないシャツの上に、ジャケットを着用。
スレンダーで背が高く、穏やかな方だった記憶があります。
「僕の学歴を聞いたら、君たち、驚いちゃうよぉ」
そう笑って話されていました。
何をきっかけに、その方と話したのかは覚えていません。
しかし、話し方や表情に、知性と品位があったのです。
そして、その方は、マーケットの方に声をかけました。
「この2人にも、肉まんを」
そう言って、チャバちゃんと自分にも、肉まんを2個ずつ買ってくれたのです。
店員の方から、ビニール袋に入った肉まんをそれぞれ受け取り、帰宅しました。


中学、高校と卒業をし、さらに進学。
法学の授業。
弁護士の資格も持つドクターが、山谷にお住まいの方について
「山谷にいる方、決してバカにはできません。はるかに学のある方がいらっしゃいます」
と話をされました。
その時、脳裏に浮かんだのは
「僕の学歴を聞いたら、君たち、驚いちゃうよぉ」
肉まんを買ってくれた、あの知性と品位をお持ちの方。
何かしらのご事情で、この地域にお住まいになったのでしょう。
その後、あのお2人が、どうされたのかは、わかりません。
しかし時が経っても、今でも忘れることはないのです。
見ず知らずの子供に、優しく接して下さったこと、感謝しています。


山谷の学校に関するSNSの話
SNSに、山谷にあった中学校のことが書かれていました。
その内容は
「昔、山谷にあった中学校の生徒は、窓から外を眺めてはいけなかった。カーテンは閉めっぱなし。道路を歩いている時も、生徒たちはドヤの2階を見てはいけなかった。この話を、桜橋で出会ったご高齢の方お二人が、同じことを言っていた」
というものです。
山谷にあった中学校ですが、窓から外を眺めることを、禁止されたことはありません。
また、いつも窓はカーテンでおおわれてもいないのです。
なぜ、そのご高齢の方お二人が、そのように話されていたのか。
それは、わかりません。
推測になりますが
「日差しが強い時だったのではないか」
と思います。
直射日光が当たると眩しいので、窓にカーテンを引くことはあります。


日差しが強い真夏の日中。
そのお二人の方は、中学校の前を歩くと、窓はカーテンにおおわれている。
直射日光を避けるためでも、外にいると、教室内のことはわからない。
そのため、疑問に思われたのかもしれません。
そして、中学校近くにある住宅街。
その2階を見ることを禁止されるということもありません。
公立学校の場合、通ってくる生徒は、その住宅街に住んでいる子供たちなのです。
自分たちが住んでいる地域。
その2階を
「見てはいけない」
と、禁止にする理由がわかりません。
SNSにあった記述については
「そのようなことはありません」
と伝えさせて頂きました。



ご感想・思い出などお寄せ下さい