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夏の始まりを告げる、笹の彩り「下町七夕まつり」を歩く | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

夏の始まりを告げる、笹の彩り「下町七夕まつり」を歩く

7月に入りました。
浅草の町に、夏がやってきます。
その始まりを告げるお祭りが、かっぱ橋本通りの「下町七夕まつり(したまちたなばたまつり)」です。
今年も、行ってまいりました。

国際通りの近く。ここから、七夕まつりの通りが始まる。
国際通りの近く。ここから、七夕まつりの通りが始まる。

浅草と上野を結ぶ、長い通り

お祭りの舞台は、かっぱ橋本通り。
道具街で知られる「かっぱ橋道具街」とは、また別の通りです。
浅草の国際通りのあたりから、上野の昭和通りまで。
およそ1.2キロメートルにわたって、まっすぐ西へと延びる、長い商店街です。

ピンクの提灯が連なり、いつもの通りが華やぐ。
ピンクの提灯が連なり、いつもの通りが華やぐ。
はるか先まで続く飾り。歩くほどに、心が浮き立つ。
はるか先まで続く飾り。歩くほどに、心が浮き立つ。

この通りが、一年に一度、色とりどりの七夕飾りで、埋めつくされます。
いつもの見慣れた商店街が、この日ばかりは、まるで別の場所のよう。
頭の上には、赤や青、黄色の飾りが、はてしなく続いています。
歩いているだけで、心が浮き立ってきます。

願いを込めた、短冊の笹

通りを歩いていて、いちばん目を引くのが、笹飾り(ささかざり)です。

数えきれないほどの短冊。一枚いちまいに、願いがこもる。
数えきれないほどの短冊。一枚いちまいに、願いがこもる。
願いごとを書いて、そっと笹に結ぶ。
願いごとを書いて、そっと笹に結ぶ。

背の高い笹竹に、数えきれないほどの短冊(たんざく)が、結ばれています。
赤、青、黄、緑、紫。
色とりどりの短冊が、風に揺れて、さらさらと音を立てています。
一枚いちまいに、願いごとが書かれています。

商店街のあちこちに、こうした笹飾りが立てられている。
商店街のあちこちに、こうした笹飾りが立てられている。


子供の、たどたどしい字。
大人の、そっと秘めた願い。
外国から来た人が、慣れない日本語で書いたもの。
さまざまな思いが、この笹に、託されています。
こうした飾りの中には、地元の小学生や、町内会の人たちが、手づくりしたものも少なくないそうです。
その、手づくりのぬくもりが、このお祭りの、いちばんの魅力だと、私は思います。
派手ではないけれど、町の人たちの心がこもっている。
下町のお祭りらしい、素朴な良さです。

模擬店と、人、人、人

お祭りが、いちばんにぎわうのは、7月初めの、土曜と日曜です。
この二日間、かっぱ橋本通りは、車の通らない歩行者天国(ほこうしゃてんごく)になります。

歩行者天国となった通りは、人、人、人。
歩行者天国となった通りは、人、人、人。
食べ歩きをしながら、通りをそぞろ歩く楽しさ。
食べ歩きをしながら、通りをそぞろ歩く楽しさ。

通りいっぱいに、人、人、人。
地元の商店会の人たちが並べた、たくさんの屋台(やたい)。
食べ物の匂いと、呼び込みの声。

露天の前に集まる観光客たち。
露天の前に集まる観光客たち。
子供たちが目を輝かせる、露店の水風船。
子供たちが目を輝かせる、露店の水風船。

子供たちは、露店(ろてん)をのぞいては、目を輝かせています。
食べ歩きをしながら、通りをそぞろ歩く。
これが、このお祭りの、いちばんの楽しみ方です。
私も、人の波にまぎれて、ゆっくりと通りを歩きました。
日曜日には、阿波踊り(あわおどり)や、佐渡おけさといった流し踊り、越中おわら節(えっちゅうおわらぶし)の演舞(えんぶ)なども、通りのあちこちで繰り広げられます。

かっぱ橋本通りの、いわれ

この通りには、ひとつ、心に留めておきたい場所があります。
通り沿いに立つ、古い石碑(せきひ)と、説明板です。

通りの近くにある、「かっぱ寺」こと曹源寺。
通りの近くにある、「かっぱ寺」こと曹源寺。
「かっぱ橋」の名の由来を伝える、かっぱ寺の石碑。
「かっぱ橋」の名の由来を伝える、かっぱ寺の石碑。

「かっぱ橋」という名前。
その由来には、心温まる言い伝えがあります。
近くに、曹源寺(そうげんじ)という、「かっぱ寺」の名で親しまれるお寺があります。
その説明板に、こんな話が記されています。
今から200年ほど前、文化年間(1804〜17年)のこと。
この地に、合羽川太郎(かっぱかわたろう)という、雨合羽(あまがっぱ)を商う人がいました。
このあたりは、水はけの悪い低地。
雨が降るたびに洪水となり、人々は、たいそう困っていました。
そこで川太郎は、自らの財産を投げうって、水を流すための堀(ほり)を掘る工事を、始めたのです。

河童大明神を祭る碑。合羽川太郎の物語が、ここに残る。
河童大明神を祭る碑。合羽川太郎の物語が、ここに残る。
説明板には、河童が工事を手伝ったという言い伝えが記されている。
説明板には、河童が工事を手伝ったという言い伝えが記されている。

すると、不思議なことが起こりました。
かつて川太郎に助けられた、隅田川(すみだがわ)の河童(かっぱ)たちが、どこからともなく現れて、工事を手伝ったというのです。
おかげで、難しい工事は、無事に完成しました。
そして、この河童の姿を見た人は、商売が繁盛したとも伝えられています。
雨具の「合羽(かっぱ)」と、伝説の「河童(かっぱ)」。
その二つが重なって、「合羽橋(かっぱばし)」という地名が生まれた。
そう伝えられています。
にぎやかなお祭りの通りに、こうして、江戸からの言い伝えが、静かに息づいている。
そのことに、下町の奥深さを感じます。

おわりに

七夕は、一年に一度、織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)が出会う日。
願いごとが、天に届く日です。
下町七夕まつりは、その七夕を、町ぐるみで祝う、夏の始まりの行事です。
色とりどりの飾り。
風に揺れる、短冊。
模擬店の、にぎわい。
そして、通りに息づく、下町の歴史。

通り沿いの店々も、この日は特別なにぎわい。
通り沿いの店々も、この日は特別なにぎわい。

浅草の夏は、このお祭りから始まります。
歩き疲れた足で、それでも、心はすっかり晴れやかになりました。

夕方が近づいても、にぎわいは絶えない。
夕方が近づいても、にぎわいは絶えない。

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