東京23区の中で、台東区が一番小さな区であることをご存じでしょうか。
その面積は、およそ10平方キロメートル。
けれども、この小さな区で今、ちょっとした変化が起きています。
それは「人口が増えている」ということ。
しかも、全国的にみても、めずらしい増え方なのです。
数字でみる、台東区の人口
総務省の住民基本台帳によると、台東区の人口は、2025年の時点で、およそ21万6千人。
かつて平成の初め、1999年には、およそ15万1千人まで減っていました。
そこから、じわじわと増え続け、この四半世紀ほどで、約3万人も増えたことになります。
数年前には、台東区の人口増加率が全国で一番になったこともありました。
多くの街で人口が減っていくと言われる今、これは、なかなかに珍しいことなのです。
なぜ、増えているのか
その理由は、大きく分けて3つあると言われています。
ひとつめは、引っ越してくる人が多いこと。
生まれる人が増えたというよりも、外から移り住んでくる方が、出ていく方を上回っている。
いわゆる「社会増」が、人口増加を支えていると分析されています。
ふたつめは、マンションが増えたこと。
下町を歩いていても、新しいマンションが建つ様子を、よく見かけるようになりました。
住まいが増えれば、そこに暮らす人も増えていきます。
みっつめは、交通の便がよく、地価が比較的おだやかなこと。
台東区には、上野と浅草という、ふたつの大きな街があります。
いくつもの路線が通り、どこへ行くにも便利。
それでいて、都心のまん中の区とくらべると、地価はいくらか手頃だと言われます。
「便利なのに、手が届きやすい」
この魅力が、多くの人を惹きつけているのですね。
増えているのは、ひとり暮らしの世帯
ただ、増えている人の中身をみると、少し気になることもあります。
増えているのは、主に「ひとり暮らし」の世帯だと言われているのです。
子育て世帯は、むしろ区の外へ引っ越していく傾向があるとのこと。
お子さんが大きくなると、区内の住まいでは手狭になり、もっと広さを求めて、外へ移っていく。
新しく増えるマンションも、ひとり暮らし向けの間取りが多いそうです。
小さな区の、これから
小さいけれど、たくさんの人が集まる街、台東区。
昔ながらの下町の風情と、新しく移り住む人たちの活気。
そのふたつが、静かに混ざり合っているのが、今のこの街なのかもしれません。
山谷や浅草を歩いていても、そんな移り変わりを、ふと感じることがあります。
古いものと、新しいもの。
そのあいだで、この街は、今日も少しずつ表情を変えているのです。

- 本記事の人口の数字は、総務省「住民基本台帳に基づく人口」および国立社会保障・人口問題研究所などの公表資料をもとにしています。数字は調査の時点により変わることがあります。

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