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浅草寺の「はと豆」とハト | 生まれも育ちも東京の山谷 -山谷は日本三大ドヤ街のひとつです-

浅草寺の「はと豆」とハト

小雨の降る日の午後、旅館街の路地に、一羽のハトが歩いていました。
やせ細った体は雨に濡れ、必死に路地を歩き続けています。
他にハトの姿はありません。
たった一羽で、バス停のひと停留所近くある距離を、トボトボと歩いています。
歩きながら、何もないコンクリートの地面をついばむハトの姿。

吉野通り近くの歩道を歩く一羽のハト
吉野通り近くの歩道を歩く一羽のハト

今
「ハトにエサをあげないで下さい」
という看板を見かけます。

昭和の頃、小鳥たちが食べるご飯を、庭の台に用意する家がありました。
可愛らしい声を聞きながら、小鳥たちが食べる姿を愛でたのです。

小雨が降り、ハトの体も濡れています
小雨が降り、ハトの体も濡れています

浅草の浅草寺。
鳩ポッポの歌碑もあります。
浅草寺でも、平成の初期頃までは、境内でハトへエサをあげることができました。
ご本堂前の広場に、電話ボックスくらいの「はと豆」という建物があったのです。
その「はと豆」で、ハトにあげるエサを買いました。
白い小さな皿に、乾いたトウモロコシの粒、小鳥も食べられるような小さな粒のエサが入っているのです。
ひと皿30円ほど。
大きめの透明なビニール袋に入ったエサも売っています。
「はと豆」の窓口で、30円を渡すと、女性の方がこちらの手の平に、白い小皿に入ったエサを、サラッと入れてくれます。
エサに集まってくるハトたち。
地面にまかれたエサではなく、手の平に入っているエサを直接食べようと、腕にのってくるハトもいます。
エサを貰おうと、ハトたちが人の目の高さで飛んでいました。
浅草寺へ参拝する楽しみには、ハトにエサをあげることもあったのです。

浅草寺の境内にある「鳩ポッポの歌碑」の写真(撮影日:2025年8月31日)
浅草寺の境内にある「鳩ポッポの歌碑」の写真(撮影日:2025年8月31日)

この頃、浅草寺には、たくさんのハトがいました。
浅草寺にハトがいるのは、当然の光景だったのです。
ご本堂の屋根にも、たくさんのハトの姿が見えます。
屋根からハトたちが一斉に飛び立つと、境内にハトの羽ばたく
「バタッバタッバタッ」
という大きな音が響き渡ります。
羽ばたきの音と共に、大空を悠然と舞うハトたち。
その姿を、参拝客たちが
「おお〜」
と歓声を上げながら見上げたのです。

しかし、その後に「はと豆」の建物は撤去。
ハトにエサをあげることを禁止する看板が設置されました。

他のハトの姿はなく、一羽のみです
他のハトの姿はなく、一羽のみです

禁止の理由は、建物の屋根に、ハトのフンが落ちると、屋根がサビてしまうというものです。
浅草寺も、ご本堂の屋根修繕に、かなりの費用がかかると聞きました。

日本堤の旅館が建ち並ぶ路地を歩き続ける一羽のハト
日本堤の旅館が建ち並ぶ路地を歩き続ける一羽のハト

ハトへのエサ禁止。
この看板は、至るところで目にします。
ハトのフンにより、屋根の被害。
寺院だけのことではないのでしょう。

今でも、浅草寺で鳩ポッポの歌碑、そして街角でハトを見かけると「はと豆」のことを懐かしく思い出すのです。

飛ぶことなく、ひたすら歩く、やせ細ったハト
飛ぶことなく、ひたすら歩く、やせ細ったハト

日本堤の路地で出会った一羽のやせ細ったハト。
飛ぶことなく、雨に濡れながらエサを探し、トボトボと歩き続ける姿が印象に残りました。

ハトの姿は寂しそうに見えました
ハトの姿は寂しそうに見えました

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