靴を作る氏子たち
春の山谷で、ひときわ賑わいを見せるお祭りがあります。
玉姫稲荷神社で開催される「こんこん靴市」です。
玉姫稲荷神社では、4月最終土日に「こんこん靴市」が開催され、11月最終土日に「靴のめぐみ祭り市」が開催されます。
「靴の祭り市」とも言われています。
今年(2026年)は、4月25日(土)26日(日)が開催日。
玉姫稲荷神社の周囲も、とても賑やかで活気があります。
当日は、30社以上の靴メーカーが境内に出店。
10万足以上の靴やバッグ、財布などの皮革製品が、6~8割引で販売されます。
ただ、このお祭りは、単なる即売会ではなく、山谷地域の地場産業の歩みそのものなのです。







玉姫稲荷神社の創建は、760年(天平宝字4年)と伝えられています。
非常に長い歴史ある神社です。
神社の周囲は、皮革産業が地場産業として根付いており、 氏子のなかに製靴業者が名を連ねています。
(ブログ記事「玉姫稲荷神社」を参考)







「靴の祭り市」は、1974年(昭和49年)に始まりました。
当時、この周辺には、多くの靴製造業者や職人が集まっていたのです。
靴の事業者たちが、氏神様への感謝を込めて、祭事と感謝市を開催。
秋の「新嘗祭(にいなめさい)」の祭事を手本にされました。
新嘗祭とは、その年の収穫に感謝をし、来年の豊作を祈願する神道の祭祀(さいし)のことです。
その祭事を手本に
「感謝を形にしよう」
という製靴業者側の意思が「靴の祭り市」の出発点でした。
その時代背景には、1974年(昭和49年)は、高度経済成長が終わりを迎えた時期。
オイルショック直後の時期でもあります。
浅草の製靴産業が、最盛期を迎えつつあった頃で、地域の産業振興と結束を高める意図もあったのかもしれません。







靴への感謝からお祭りへ
「靴の祭り市」は、その歴史の中で、いくつかのユニークな文化が育ちました。
【靴供養】
役目を終えた靴に感謝し、お焚き上げる神事です。
「道具を大切にする」
という日本らしい文化が、古靴供養として続けられています。
【シンデレラ神輿】
1980年代以降、よりお祭りを盛り上げるために考案されました。
デザイン公募が行われるなど、時代に合わせたアップデートが続けられています。
【こんこん靴市と靴のめぐみ祭り市】
年に2回ある「靴の祭り市」ですが「めぐみ祭り市」のほうが先に始まりました。
「こんこん靴市」は、後から春のお祭りとして加わったのです。
名前の由来の違いとして「こんこん」は、稲荷神社の使いである「お狐様」の鳴き声「コンコン」にかけた名前。
「めぐみ祭り市」は、靴の「恵み」に感謝するという意味です。
どちらも同じ「靴への感謝」という思想から生まれています。
実際に訪れてみると、境内には靴を手に取る人々であふれ、普段の静かな神社とは違う表情を見せていました。








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